Interview

国産大豆の復活を目指して

井出剛

大豆エナジーを設立した理由、そしてその名前に込められた想いとは。大豆エナジー株式会社代表取締役社長の井出剛へ、大豆事業への参入についてインタビューを行いました。

井出 剛(Tsuyoshi Ide)
1986年同志社大学法学部政治学科卒業。
1990年シキボウ・ライフテック株式会社に入社(髙島文子と出会い結婚する。)
1997年株式会社トランスジェニック設立、
2002年東証マザーズ株式公開。
2005年株式会社果実堂設立、代表取締役社長 就任(同時に短編映画制作会社を断念する。)
2017年10月に大豆エナジーを設立し代表取締役社長を務める。
賞罰
2003年10月 「藍綬褒章」(新産業貢献)受章
2002年10月 「新事業挑戦者表彰」内閣総理大臣表彰受賞

果実堂は、ベビーリーフ生産では国内最大の農業ベンチャー企業ですが、何故、新しく大豆エナジーを設立したのですか。

大上段から申しますと、国産大豆の復活を目指したいと思いました。
下記の図表を見て下さい。各国の大豆の生産量と消費量をグラフで示しています。このグラフから2つのことがわかります。

ひとつは、日本は他国と比べてダントツに大豆の消費量が多いということです。日本人は古くから炭水化物は米から、タンパク質は大豆から摂取してきたことがわかります。
ふたつめに大豆は、豆腐、豆乳、納豆、醤油、みそ、油、乳化剤の原料として日本の食品業界に大きく貢献しているにもかかわらず、日本ではほとんど国産大豆が使用されていないことがわかります。

もう少し詳しく大豆事業への参入の動機についてお話下さい。

本当に自分の理念を語ってもよいのでしょうか。
私は稲作は日本の農業の根本をなすものだと思っています。稲作は単に農業だけの枠の話だと思っていません。稲作は日本の自然と生態系を守る環境の話であり、里村の伝統的神事と人々の心の絆を守る文化の話であり、また、子供たちの教育の話であります。
その裾野の広い日本の稲作が今、危機に直面しています。
私は米を守るためにも裏作の大豆栽培をもっと活性化してく必要があると思っています。大豆の栽培の大規模効率化、原価低減、そして大豆の付加価値化、すなわち機能性解析こそが急務と考えました。

  • 稲作
  • 大豆畑

大きな夢や理念をもつのも結構ですが、具体策はあるのですか。

3年前に、その具体策の鍵となる革新的な技術と出会いました。場所は、滋賀県長浜にあるベンチャーインキュベーション施設の一室でした。
技術を発見した落合孝次氏のベンチャー企業は、資金回収を急ぐベンチャーキャピタルや銀行、取引先の怒号に囲まれ火の車になっていました。しかし私は落合孝次氏が独自に生みだした“落合式ハイプレッシャー法”とはじめて接して、この技術こそが日本の大豆の将来を間違いなく変えると確信しました。
私は文科系ですのでうまく表現できませんが、落合氏はヒトのES細胞のように植物にも人が外部から刺激して効果が得られる“タイミング”があるということを実証していたと思います。また大豆のゲノム解読も終っていましたので、これから大豆から未知物質がわんさか見つかるぞと予想して飛び上がって興奮しました。

そこでどうしたのですか。

落合氏に熊本に来て頂き静かな環境で研究を続けてもらうとともに、技術の特許化と事業化を進めました。2年間の試行錯誤を経てそろそろ腰を上げる時がきたと思って、このたび大豆エナジーを設立しました。

最後に大豆エナジーの名前の由来を教えて下さい。

大豆の機能性研究はまさに緒についたばかりです。国産大豆がエネルギーを発して国内はもちろんのこと世界の人々の健康に貢献してもらいたいという想いが込められています。